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業界情報 シリーズ①トレンド3位 電気自動車

更新日:3月19日


前回のサブスクリプションそれからインバウンドに引き続き、最近のトレンド上位の業界情報を簡単に書いてみます。

今回は、電気自動車です。なお、昨年掲載した記事の更新です。

2023/3/19 SPEEDA



世界的にカーボンニュートラルを目指す中で、政策・業界・企業、すべてのレイヤーで、電気自動車への注目や投資が増加しています。


Teslaなどの電気自動車専業企業だけでなく、内燃車やハイブリッド車を中心としてきたトヨタやVolkswagenなども、電気自動車への投資を一気に増やしています。ただ、前回この記事をアップして約1年経ち、中国EV勢の勢いが日経新聞でも目立つようになってきました。


EVであるバッテリー式電気自動車(BEV:Battery Electric Vehicle)を中心に、一部ハイブリッド車(HEV:Hybrid Electric Vehicle)とプラグインハイブリッド車(PHEV:Plug-in Hybrid Electric Vehicle)そして、これらの普及に伴って増減する部品なども確認し、後段、自動車および自動車部品業界に触れます。




BEVは、ガソリン、またはディーゼルエンジンを用いた内燃機関自動車(ICV:Internal Combustion Vehicle)と比べ、エンジンがモーターに、燃料タンクがバッテリーに置き換わります。



またHEVとPHEVは、構造的にはほぼ同じで、ICVとBEV両方の駆動機構を搭載しており、外部からバッテリーの充電ができるかが違います。


このような違いから、3種類のEVそれぞれで、搭載するバッテリー量が異なる。そして、充電インフラがどれだけ充実していれば実用に耐えられるかが異なります


なお、EVで特徴的な部品はインバータ


インバータは、モーターの回転数とトルクを制御するために、モーターに入力する電流・電圧、周波数を調整します。


なお、ICVではエンジンで発生した回転数、およびトルクをトランスミッションで調整してタイヤに伝えることから、


インバータはICVのトランスミッションに近い役割を担っています。




ICV、HEV/PHEV、BEVの長所、短所


は下表のとおりです。



ICVは走行時のCO2排出量が多く、BEVはバッテリー製造の過程におけるCO2排出量が多い。


また、総合的な環境への影響は、各国・地域の電源構成比などの影響も受けます。



2030年時点の自動車全体に占めるEVの販売シェアは35%まで増加見込み


IEAによると2021年時点のEV(BEV、PHEV)の販売シェアは10%未満でしたが、2030年までに35%まで増加することが見込まれている(発表済み誓約シナリオ:APS)ようです。


内訳では中国が11百万台、欧州が9.7百万台、米国が7.3百万台となっており世界全体では約42.8百万台程度(内BEVが35.3百万台、PHEVが7.5万台)まで増加する見込みです。




補助金の減額分や適切な利益確保のために、コストダウンなどが必要


各国政府の動向をみると、補助金や減税などの優遇施策は、コロナ禍を受けて拡大や延長したものもあるが、いずれ終了することが見込まれます。


また、Volkswagen(GER)のように、BEVの利益率が現在はICVより低いと発表している企業もあります。

補助金の減額分や、BEVの構成比が増えても企業として適切な利益を稼ぐためには、コストダウンが必要です。


EVでコスト的に大きな割合を占めるリチウムイオンバッテリーパックは、


BloombergNEFによると


2013年に684ドル/kWhであった価格は


2021年時点で132ドル/kWh、


2024年までに100ドル/kWhを下回ると予測しています。


BEVの電池搭載量は40kWh程度であることから、2021-24年のバッテリー価格の低下だけで台あたり1,300ドル程度のコスト減を見込めます。


実際、Tesla(USA)は2020年以降、各国で段階的に「Model 3」の販売価格を引き下げました。この背景には、短期間での販売台数の増加以外に、一部のバッテリーをパナソニックやLG Chem(KOR)のものからCATL(CHN)のリン酸鉄リチウムイオン電池(LFPバッテリー)に変更したことが背景にあるとされています。


ただし、すべてのモデルでLFPを採用してはおらず、また過去1年ほどはニッケルだけでなくリチウムの価格も急騰しました。特にニッケルは、ロシアが主要生産地であるため、ウクライナ侵攻を背景に価格が急騰しています。そのため、電池メーカー各社は値上げを進めており、Tesla(USA)を含めた自動車メーカー各社も、2022年3月以降相次いで値上げを進めました。





上位Tier1のメガサプライヤー化が進む一方、自動車メーカーによる内製化や水平分業の動きも



主要部品ごとの企業をみると、モーターやインバータを含む電装品とそれらに関連するシステムは、一部のTier1が中心的に手がけています。


これらの部品が自動車に占める割合が今後上昇していくことなどを理由に、近年はTier1のメガサプライヤー化が進んでいます。


具体的な事例としては、2020年にトヨタが主要な電子部品事業(インバータやモーター、およびそれらに用いられる半導体部品)をデンソーに譲渡しました。


電子部品に関してより高い専門性を有するデンソーに事業を集約することで、競争力を高めることが目的です。


また、2021年には、日立オートモティブシステムズ、ケーヒン、ショーワ、日信工業の4社が経営統合し、日立Astemoが設立されました。


グループで電装品やパワートレイン、ブレーキなど重要部品を総合的に取り扱う大手サプライヤーとなっています。


一方で、自動車メーカーでは内製率を上げる動きも見られます。


特に電池については、前述のとおり自動車メーカーが電池メーカーとの提携やJVの設立に加えて、自社での生産を計画する動きもあります。


またソニーは、ホンダとJVを設立し、自社でBEVに参入することを、2022年3月に発表しました。Appleも自動車領域への参入を以前より検討しているとされ、製造パートナーを巡って何度も報道されています。またAppleのEMSとして有名なHon Haiも、BEVプラットフォームのMIH(Mobility in Harmony)を発表し、デンソーなども含めた部品メーカーと提携を広げ、事業拡大を狙っています。


このように自動車業界が大きく変化する中で、自社のコア技術や蓄積してきたもの、また技術負債がないことを逆手に取った内製や外製、水平分業や垂直統合など、様々な事業形態の模索が現在は続いている状態です。



中国EVバッテリー市場では外資参入とコストダウンで変化が起きつつある


中国ではCATL(CHN)とBYD(CHN)の2社がバッテリー市場の大半を占め、2021年の容量シェアはCATL(CHN)が50%、BYD(CHN)が16%でした。ただし、外資自動車メーカーの本格参入と将来的な補助金の削減方針により、この状況は変わり始めています。


外資自動車メーカーの参入について、2018年7月より新エネルギー車NEV(BEV、PHEV、FCV)の製造にかかる外資持分比率の制限は撤廃され、2022年以降は乗用車の製造に関する制限も撤廃される予定です。


それに応じて、Tesla(USA)は2018年に上海でEVの独資工場を設立し、Volkswagen(GER)、Daimler(GER)、トヨタ自動車もそれぞれ中国EV市場への参入に動き出しました。


これらのOEMは現地バッテリーサプライヤーとの提携で主導権を確保するため、CATL(CHN)やBYD(CHN)だけではなく、シェアが比較的小さいプレイヤーへの投資や買収も行っています。


加えて、2022年8月に成立した米国のインフレ抑制法では、補助金の対象を北米生産の部品を一定割合含むこと、原料鉱物は米国か自由貿易協定(FTA)締結国で調達されたものを一定割合含むことが条件となるなど、中国企業には厳しい条件が含まれています。

また、将来的な補助金の削減を見据え、最大の部品コストを占めるバッテリーのコストダウンが再び注目を集めています。これまで航続距離を追求するため、三元系リチウムイオン電池に注力するCATL(CHN)が競争優位を築いてきました。しかし、近年はコストダウンや安全性の向上、充電サイクル数などを背景に、前述のLFPへの注目が増しています。


前述のTesla(USA)に採用されたCATL(CHN)のLFPバッテリー以外にも、BYD(CHN)は、安全性が高く、かつ三元系と同等の長航続距離を実現する次世代LFPバッテリー「ブレード・バッテリー」に注力しています。




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