業界情報 シリーズ①トレンド チャットボット
チャットボットは広範な顧客対応を自動化

チャットボットは、自然言語で人間と対話するように設計された自動ソフトウェアです。KKFASのHPにも右端にあります!1~2年前位に、それまでは電話待ちで疲弊するカスタマーサポートに、結構使えるチャットボットを利用した時に感動したため、「採用」をきめました。なお、KKFASは現在「アナログ対話」です 汗。

さてチャットボットは、当初は、あらかじめ想定された問い合わせに対し、プログラムを基に応答していたようですが、近年は技術が進化し、企業のウェブサイトのポップアップウインドウや、AppleのiPhoneに搭載されている「Siri」などの対話型アシスタントとして登場しているようです。
そして通常チャットボットはユーザーインターフェイス、AI(問い合わせを文脈の中で理解し、機械学習と自然言語処理を行う)、システム統合(他のシステムにある情報へのアクセス)の3つの要素で構成されているようです。
自然言語処理(NLP)と機械学習による認識技術が急速に発展し、人間の問題解決パターンを学習・再現できるようになったことで、利用者の発言や問い合わせへの効果的な応答を実現しているようです。
個人的には、機械的な対応よりは「大手銀行などの対話型」がやはりストレスレスだと思います。また、先週取り上げたChatGPTは、突出した「チャットボット」だと思いました。

現に、チャットボットとChatGPTの連携サービスが開始しているようです。
では以下、「チャットボット」の現状です。
初歩的なリクエストを大量に処理し、労働時間削減による大幅なコストメリットが見込める
チャットボットは現在、主に「ティア1」と呼ばれる顧客からの初歩的な問い合わせに対応しているようです。

IBM(USA)によると、適切に設定してさえいれば、この8割はロボットで対応することがで、企業または業界にもよりますが、最大3割のコスト削減を実現できるそうです。
ECや医療、通信業界では、チャットボットの導入が進んでいるようです。

これらの業界では、膨大な量の問い合わせに対応する必要があるため、大量の顧客関連データを蓄積していることが多く、チャットボットの活用に適している。また、CRM(顧客関係管理)などの既存のデータベースおよびシステムに統合できるため、データを手動で照会しなければならない人の担当者に比べて短い時間で問い合わせを解決することができるようです。

また、コロナ禍で買い手と売り手のやりとりがオンラインにシフトする中、某調査回答者の58%がコロナ禍を機にチャットボットを導入しているそうです。
即時対応が可能なチャットボットの活用により、企業はサービスの信頼性を高め、専門的な内容を含む問い合わせにより多く対応できるようになり、顧客満足度とコンバージョン率の向上につなげることができると考えられています。
たとえばIBMが提供したAutodeskのチャットボットは、2019年時点で約40件の事例を参考に初歩的な問い合わせに対応することができ、カスタマーサポートに寄せられた問い合わせを月平均3万件処理でき。また、Autodeskは、ほとんどの初歩的な問い合わせについて、解決までの時間を38時間から5.4分に短縮しているそうです。

お客はチャットボットを利用することで、人の担当者とやりとりを行うよりもはるかに迅速に情報を得ることができます。
人の担当者は情報検証のために部署をまたいだ確認が必要となる場合があるのですが、チャットボットはシステムに直接アクセスし、すぐに情報検証することができます。これは、特に銀行で資金を振り込む際や残高を確認する際に有効のようです。
ただし、解決までにかかる時間は、業界によって大きく異なる場合があるようです。
自然言語処理技術の進歩、導入にかかる手間とコストの低減が、チャットボット導入を加速
近年では、複数のグローバル企業が業務支援にチャットボットを利用しています。またチャットボットのメリットを実感し、自動化ソフトウェアの導入を計画している企業も多いようです。
これは、自然言語処理と

機能の進歩が主な要因のようです。アルゴリズムの進歩により、チャットボットは大量のデータを選別して最適な応答ができるようになり、自然言語処理技術は文脈と意味を理解することに貢献した。また、機械学習の応用により、顧客の問い合わせに対する過去の成功と失敗事例の学習からも応答精度が大幅に改善されてきました。
IBMのWatsonが2016年に発明され、Google AssistantやSiriなどのさまざまなプラットフォームのアシスタント機能が登場し、顧客が求めることを理解・対応する能力が向上したそうです。
チャットボットが、コミュニケーションのツールとして好まれることが増え、導入が容易なチャットボットが急増していることも、利用が増えている要因といえます。
企業の顧客サービスにおいてメッセージサービス・チャットアプリの利用が増える中で、チャットボットは今、自動応答の方法として広く受け入れられつつあるようです。
企業がコスト削減と効率性向上のために導入、すべての顧客がチャットボットを受け入れるのは数年先?
チャットボットの需要は拡大しているものの、多くは企業側の都合であり、顧客がチャットボットとのやりとりを求めているわけではないという側面もあるようです。

長い時間をかけてチャットボットの性能は向上したものの、現行のチャットボットは機械の思考を測るチューリングテストに合格したとはいえないようです。

同テストでは、チャットボットと人による応答を比べ、応答を受ける人がその違いを判別できなかった場合を合格とみなす。チャットボットが合格できないのは、文脈を読み取ることや、訓練されていない問題の対応が不得手であるためです。(ChatGPTがやはり連携して補完しそうですね)
このような性能の問題から、従来の顧客はチャットボットの応答に不満を持ち、利用に抵抗感を感じる人が多いようです。
チャットボット規制は限定的で、消費者保護や第三者の権利侵害管理が中心
チャットボットは主に顧客サービス分野で使われており、ユーザーが求めることを予想するため個人のデータを蓄積しています。
このため、個人情報や住所、好み、閲覧履歴などにアクセスでき、乱用される可能性もあります。
世界各国の政府は、チャットボット利用が日々の生活に浸透することで生じる可能性のある法的やビジネス的側面、倫理的な課題に対処するため法律やガイドラインの作成に着手しています。

事業者は、チャットボットを消費者保護や広告関連の法律に適合させる必要があります。
特定の業界では業界特有の規制もあるようです。たとえば、守秘義務に関わる法律の順守を求められる銀行業や金融サービス提供業者にとって、消費者データを収集するチャットボットの使用は慎重に進める必要があります。
さらに、企業は自社のチャットボットが商標や著作権などの第三者の権利を侵害していないことを確認するため、デューデリジェンスと監視を支援する技術も必要となるようです。
2018年5月に施行されたEUのGDPR(一般データ保護規則)には、利用者データの取り扱いなどに関して、ユーザーの明示的同意や厳格な処理要件など、チャットボットに対する規制も盛り込まれています。
チャットボット市場は急成長
市場調査会社Markets and Marketsによると、世界のチャットボット市場は2020-26年にかけて年平均成長率(CAGR)24%で成長し、2026年には約110億ドル規模に達すると見込まれています。
運用コストを抑えつつ顧客エンゲージメントを高めるため、企業の間で年中無休のカスタマーサポートに対するニーズが高まっていることがこの背景にあるようです。地域別では、同期間中に北米が最大市場となる一方、アジア太平洋がCAGRベースで最も大きく成長するとみられています。

チャットボットは、人間よりも素早い応答やカスタマイズされた対話により、コンバージョン率を高めることができ、ひいては導入する企業やサービスの売上増加にもつながるようです。
市場調査会社eMarketerによると、世界の小売EC市場は今後2021-26年にかけてCAGR9%で成長し約8兆ドル規模に達する見通しです。
PowerReviews 2021によると、99.9%以上の顧客がオンラインで商品を購入する際レビューを参照し、98%がレビューを不可欠と考えていることがわかりました。
チャットボットは顧客の好みに応じた提案を行い、顧客が尋ねる可能性のある問い合わせをサポートすることができるため、企業での利用が増えているようです。
初歩的な問い合わせ対応の自動化によるコスト削減が、チャットボット利用の最大効果
以下のタイプの問い合わせは通常、初歩的と分類され、チャットボットが処理します。
1. 明確に定義された処理領域(請求書の支払いや口座残高の照会など)
2. 明確な段階を踏む処理や値の入力作業(行先、渡航日時の決まった航空券予約)
3. 一般的に多くの問い合わせ事例が存在する処理
4. 顧客への負荷や影響の少ない処理(多額の銀行取引ではなく、請求書の支払いなど)
チャットボットが投資利益率(ROI)の増加につながるという投資メリットもあるのですが、短期的にはコスト削減効果のほうが大きく、初歩的なサービス対応にチャットボットが広く利用されているようです。
コスト削減を通じて投資効果を実現
チャットボットを導入する企業の重点分野は、初歩的な問い合わせへの対応です。以下の例では、1日あたり約1,000件までの問い合わせを処理する企業のコスト削減の機会を示す。問い合わせの6割は初歩的な内容とすると、チャットボットの導入により、企業の年間コスト削減額は180万ドルにもなりえます。

既存の開発ツールとプラットフォームが利用でき、銀行から医療まで利用業界が拡大
チャットボットはゼロから開発されるか、開発が容易な既存の枠組みやツールが使われ、プラットフォーム上で展開されています。外部の自然言語処理ツールもこれらのプラットフォームに使用されており、社内のIT担当チームや、Accenture(IRL)、Deloitte(USA)など外部のサービス提供業者が必要なチャットボットを開発します。
これらのチャットボットは、その後メッセージングや企業のウェブサイト、モバイルアプリなど、特定のプラットフォーム上に設定されます。このような状況を背景に、ニッチ製品の提供を企図したプレイヤーも参入しています。

Chatfuel(USA)やBotsify(PAK)、ManyChat(USA)、MobileMonkey(USA)などの開発プラットフォームが大手プレイヤーとなっている。これらは使いやすく、コーディングの知識があまりなくても、Facebookなどのプラットフォームに展開できることが利点である。Microsoft、Alphabet(Google)、IBMなどの大手テクノロジー企業も、それぞれMicrosoft Bot Framework、Dialogflow、Watsonを通じて、この分野での存在感を示していいます。
小売、医療、金融サービスなど複数の業界では、顧客サービス費用を削減するために、チャットボットを活用または試用しています。チャットアプリ「Yes Robot」を導入したYes Bank(IND)は、ロボットが顧客に提供できるサービスを25種から65種に拡大しました。同行はMicrosoftのAzure Cognitive Servicesを活用してアプリを高度化し、顧客からの問い合わせが複雑でなければ応答できるようになったとのことです。

Your.Mdは医療分野のチャットボットアプリで、信頼できる情報に基づいた医療の助言や推薦を提供しています。Senselyの仮想アシスタント「Molly」は、ユーザーが入力した文章や画像、映像、音声を大量のデータと照合、分析し、ユーザーの症状に基づいた診断を提供するために設計されますた。Verified Market Researchによると、世界の医療チャットボット市場だけでも2021-30年にかけてCAGR約19%で成長し、2030年に約9.44億ドル規模に達する見通しです。
レジャー業界ではチャットボットが一般的に活用され、ユーザーによるオンライン予約、旅程作成のサポート、苦情の処理などを行っています。たとえば、Hotelwayはホスピタリティ業界に特化したチャットボットを提供しています。同社のチャットボットは、宿泊客とのコミュニケーションを強化することでエンゲージメントを高め、ホテルの売上高成長に寄与するということです。