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業界情報 シリーズ①トレンド5位 ソーシャルコマース

1週空けましたが、トレンドシリーズです。タイトル5位ですが、現時点では2位のソーシャルコマースを今回取り上げます。



インフルエンサーマーケティングとソーシャルコマース


個人的にわたしは数年前にSNSを基本ストップしました。しかし、近年SNSや動画サイトなどのソーシャルメディアと、それを活用したインフルエンサーの役割が拡大しているようです。



以前、テレビを見ているとき。中国人女性「インフルエンサー」が銀座でバッグなど商品紹介をSNSで伝えていました。


わたしがコンタクトさせて頂いたスタートアップの方々も類似のサービスを展開されています。



インフルエンサーを活用して商品・サービスの宣伝を行う「インフルエンサーマーケティング」が普及しつつあるほか、インフルエンサーが自身のブランドを展開する例もあるようです。


特に中国ではソーシャルメディアとECが一体となったソーシャルコマースが発達しているようです。


ソーシャルコマースはインフルエンサーを起点に、配信コンテンツの中で商品紹介を行い、そのまま商品販売までを一気通貫で行うようです。


中国外でも、Instagramなどでソーシャルコマース機能を付加する「動き」があるようです




背景にはソーシャルメディアの利用者基盤の拡大


ソーシャルコマースの拡大の背景には、ソーシャルメディアの社会的重要性の増大があります。



2000年代以降、インターネットやスマートフォンの普及により、ソーシャルメディアは世界的に普及し利用者基盤は拡大しています。



特に、米国や中国では、Facebook、YouTube、InstagramやTikTok、微博といった代表的なソーシャルメディアが出現、ソーシャルメディアの利用者数が急速に増加しており、利用時間も増加しています。





ソーシャルメディアでは誰でもコンテンツを投稿・配信できますが、ユーザー数の増加に伴い人気ユーザーの影響力が増し、インフルエンサーと呼ばれるようになりました。


インフルエンサーの評価は視聴者の購買行動につながりやすく、現在to C分野ではインフルエンサーマーケティングは一般的な手段となってきているようです。






中国の小紅書はレビュー閲覧から購買までその場で完結


中国のXingin Information Technologyが運営する小紅書はソーシャルコマースの代表例だそうです。

アプリ内で商品購入が可能なECサービスであると同時に、基本的なソーシャルメディア機能を持ち、ユーザーはテキスト、写真または動画の投稿、好きなアカウントのフォロー、または好きなコンテンツにコメントを残すことができます。


小紅書には、自営販売や第三者ブランドや店舗によるEC販売があるようです。


自営販売とは、Eコマース企業が自社ブランドまたは他社の商品を仕入れ、在庫を持ち、自社運営のEコマースサイトで販売すること。

第三者ブランド販売とは、企業がEコマースプラットフォーム上でネットショップを立ち上げ、自社または他社の商品を販売することである。



小紅書内の投稿とEC画面




インフルエンサーマーケティングは影響力の高いマーケティング手段


インフルエンサーマーケティングが広がった背景には、ソーシャルメディアの発展のほか、商品が加速度的に増えていく中消費者が購買を判断するための情報として、より信頼性が高く効率的というメリットがあったと考えられます。



2020年のStatista調査によると、インフルエンサーの広告から商品を買ったことがある人の割合は中国34%、米国17%と、ソーシャルコマースが普及している中国で特に高いようです。


また広告主にとっても、インフルエンサーマーケティングが効率的な広告手段ということがわかってきました。


インフルエンサーマーケティングプラットフォームInfluencer Marketing Hubの調査によると、90%の企業はインフルエンサーマーケティングが有効なマーケティング手段だと考え、93%の企業が実際にインフルエンサーマーケティングを活用しているとのことです。




市場発展に伴い、広告投稿に対する監督と規制が強化

市場の発展につれ、各国政府は業界の安定化を図るために、インフルエンサーマーケティングに対する監督と規制を強化しています。





コンテンツ型ソーシャルコマースやソーシャルメディアでの宣伝投稿に対して、「広告」を明記することをインフルエンサーに求めています。


さらに、米国のFTCは2017年に「エンドースメントガイドライン」の違反に対する取り組みを本格的にスタートしており、広告主やインフルエンサーに対して、罰則を科すケースが増加しています。


また、中国では、中国広告協会は2020年にライブコマースに関する行動規範を公表しており、広告主、インフルエンサーなどに対して、規制を強化する方針です。



インフルエンサーマーケティングはコンバージョン率が高い


マーケティング分析企業Jumpshotの2018年調査では、YouTubeでトップインフルエンサーのマーケティングによるコンバージョン率は化粧品や食品関連の広告で4.0%、5.2%でした。


一方、オンラインマーケティング企業WordStreamによると、Googleショッピング広告で、美容関連や食品業界のコンバージョン率がそれぞれ、平均で2.8%、2.2%となる。インフルエンサーマーケティングのコンバージョン率が高いことが窺えます。


また、中国では、フォロワー数の多いトップインフルエンサーのコンバージョン率が高いようです。


前述したトップインフルエンサー李佳琦Austinは淘宝ライブで美容関連商品、食品と生活雑貨をライブ配信で宣伝します。


Alibaba傘下にあるコンテンツサービスプラットフォームによると、2020年7-9月の期間中、彼による平均淘宝ショップ訪問コンバージョン率は約70%となっています(累計ライブ配信視聴者数とショップの訪問数から算出)。


中国企業はVC拡大、米国企業はSNS特化


中国では、ソーシャルコマース内に決済機能がある場合が多いようです。


小紅書も当初はレビュー掲載サイトでしたが、EC機能を付加してソーシャルコマースの代表企業となりました。


現在小紅書は日本と欧米などの国・地域に倉庫、輸送拠点を設け、物流網を整備しています。



自社販売サービス以外に、第三者のブランド・小売業者へも物流サービスを開放しました。


また、同じくソーシャルコマースの蘑菇街は「美丽说」を買収した後、「美丽说」の傘下にあったネット決済サービスを自社のサービスに導入し、ユーザーに短期的なショッピングローンなどの決済・金融サービスを提供しています。


一方、InstagramやTiktokの米国事業では、ECサービスとの連携によりソーシャルコマースを実現しようとしています。


Instagramは写真に商品タグをつけることができますが、最終的には外部のECサイトに誘導するものとなっています。


Tiktokが米国・カナダなどで展開するショッピング機能も、ShopifyやEcwidなどとの連携によるもので、Twitterが2022年3月に発表したTwitter shopsも同様の仕組みとみられます。


不正な販売者が出現する可能性を考慮すると、ソーシャルメディア内で決済までを完結させることはリスクが高いため、今後もソーシャルメディアとECサービスの連携拡大が続くと考えられます。


コンテンツ作成・配信に対する支援企業が登場


中国では、コンテンツ型ソーシャルコマースやインフルエンサーマーケティングの拡大や関連政策の変化により、関連する商流に変化が起きているようです。


商品提供側、インフルエンサーやEC側の間にマーケティングコンテンツの内容作成・配信に対する支援企業が出現し、関連サービスの成熟により、バリューチェーン全体において、より緊密な連携が進んでいます。


例として、商品提供側とインフルエンサーの間にインフルエンサーのマネジメントをするMCN(Multi-channel Networks)機構が入り、インフルエンサーに対し、広告主との交渉、コンテンツ作成・配信支援などのサービスを提供し、両者のかけ橋となっているようです。



日本でもインフルエンサーマーケティングが流行るのでしょうか。では。



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