業界情報 シリーズ① 水素(9回目)


このところ再生エネルギーのスタートアップの会社さんも数社ご連絡をとるようになりました。今回は再生エネルギー関連 水素 です。



水素の利用として私が既知なのは水素自動車。トヨタのしか知りませんが。こちらテスラ車よりも見ませんが、数年前数か月に1回くらい見ました。が、最近街中でみる数が減った気がします。今年は1回くらいしか見てないです。水素はどのように活用されるのでしょうか?



ネルギーとしての水素に注目し、その特徴や普及状況、エネルギーとしての可能性や今後の取り組みについて紹介しましょう。



水素エネルギーは、長年次世代エネルギーの1つとして取り上げられてきたが、近年再び注目を集めている。



水素エネルギーが注目される理由は、様々な原料から作ることができ、様々な用途で利用できる資源としての多様性と、利用時にCO2(二酸化炭素)を排出しない優れた環境性の2つだ。


水素の主な製造方法は、すでに量産目的で利用されている副生水素や化石燃料改質に加え、基礎研究から実証段階にある水電解、バイオマスのガス化、熱分解などがある。


また、用途としては、石油精製における脱硫の材料、半導体製造プロセスの雰囲気ガス、ロケット燃料などで利用されてきた。


今後は、FCV(燃料電池自動車)やエネファーム(家庭用燃料電池コジェネレーションシステム)の燃料、水素燃焼による熱利用や発電といったエネルギー用途そのものでの利用拡大が期待されている。




環境面では、利用時にCO2を排出しないことが特徴である。世界的に進む脱炭素化の流れもあり、今後は水素製造段階のCO2排出(Well to Tank)もゼロとする グリーン水素 と呼ばれるCO2フリー水素の量産利用が目標とされている。



水素の製造方法とその特徴



出所:新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)「水素エネルギー白書」などを基にUzabase作成



世界各国で水素エネルギーの普及が推進され、国際連携も活発化




世界では「脱炭2015年のパリ協定を契機に脱炭素の流れが加速し、これが近年の水素エネルギーの普及を後押ししている。


日本は、水素利用を最も積極的に推進する国の1つである。


2018年以降で4回実施された「水素閣僚会議」では、日本が議長国を務めており、ロードマップの策定や規制、国際規格の標準化などグローバルでの連携を主導している。


欧州では、「グリーン水素」の早期普及が推進されている。



グリーン水素とは、再生可能エネルギー(再エネ)由来の電力を使用するなど、製造から一貫してCO2を排出しない水素のことである。


これに対し、排出されたCO2を回収して地中に埋めるCCS(CO2回収貯留)技術などを活用し、実質的なCO2排出をゼロにした水素は「ブルー水素」、



工業原料や化石燃料の燃焼により製造された水素は「グレー水素」と呼ばれる。





水素エネルギー普及にあたっての最大の課題はコスト


水素燃料の調達・供給コストは、従来燃料に比べて非常に高い。


資源メジャーのBHP(AUS)によると、現状のグリーン水素の製造コストは2.5~8ドル/kgであり、貯蔵・輸送コストは別途2~5ドル/kgかかる。


ガソリンなどの化石燃料から水素エネルギーへの燃料転換を促進するには、トータルコストが1~1.5ドル/kgである必要がある。


グリーン水素の製造に要する再エネ自体のコストダウンも含め、さらなる価格低減が不可欠である。


なお、価格低減に向けては、供給先が十分であることも重要である。


各国政府は、産業分野での用途拡大に加え、民生向けの分野においても、FCV向け水素ステーションの拡充を随時進めている。


世界の電源別発電コスト(平均)の比較



出所:LAZARD「LEVELIZED COST OF ENERGY ANALYSIS - VERSION 15.0」を基にUzabase作成




各国間でサプライチェーンの構築を目指した実証実験や協業も本格化


サプライチェーンの構築に向けた実証実験や協業も本格化している。


オーストラリアと日本の間においては、2018-21年にかけて、世界の未利用エネルギー由来の水素を液化して大量輸送し、日本で利用するというサプライチェーン構築の実証事業が進められた。


2021年には、JERAとマレーシアのPetronasがアンモニアや水素の製造・供給、サプライチェーン構築などの協業に関する覚書を締結した。

また、サウジアラビアと日本間においても、2021年にENEOSとSaudi Aramcoが水素・アンモニアのサプライチェーン構築に向けた協業検討に関する覚書を締結している。


水素サプライチェーンの全体像



出所:再生可能エネルギー・水素等関係閣僚会議(第1回)資料「水素社会実現 に向けた取組について」を基にUzabase作成




水素はエネルギーキャリアとしても有望視される


世界的に再エネの導入が必須となるなかで、水素は エネルギーキャリア としても有望視されている。



太陽光や風力などの再エネ発電は、季節や天候に左右されるため、需給のバランスを保つためには余剰電力の貯蔵が必須となる。



ただし、一般的に想定される蓄電池では、エネルギー変換部と貯蔵部が一体型であるため、大容量化するには多くの蓄電池が必要となる。


また、蓄電池 は、自然放電により時間経過とともに蓄電量が減少する問題もある。



そこで、余剰電力を貯蔵・活用する手段としてPower to Gas(P2G) の注目度が高まっている。


P2Gでは、余剰電力から水素を製造し、それを気体燃料のメタンに変換して利用したり、液化水素やアンモニア(NH3と多く水素原子を含み、単位体積あたりの水素密度が一番高く、沸点も低い)に変換して貯蔵したりする。



水素はガスタンクで貯蔵できるため、電力の大容量化に伴い単位量当たりのコストが低下しやすい。また、水素は密閉タンク内であれば自然放出しないため、長期間の保存も可能である。


前述のサプライチェーン構築は、水素貯蔵・輸送の安定化のみならず、再エネ導入の促進につながる可能性がある。




2030年時点でも水素エネルギーは化石燃料に対して割高


水素エネルギーと従来エネルギーの損益分岐点試算によるコスト差を見てみる。


なお、エネルギー利用では電力が注目される傾向にあるが、世界の電力化率は19%程度(2018年時点)、日本では26%程度(2019年度時点)であり、その他の多くは燃料燃焼によって得た熱を直接利用しているため、熱利用におけるコスト評価も重要である。


そこで、まずは化石燃料代替における水素エネルギーの経済性を評価した。


水素コストは2030年時点で30円/Nm3と仮定し、比較対象とする化石燃料はボイラー燃料や工場熱源、空調・冷暖房用燃料などに使用される都市ガス、LPガス(液化石油ガス)、灯油、重油、石炭とした。


熱量あたりの価格を比較すると、2030年時点でも水素はほとんどの化石燃料より割高である。ただし、石炭と水素では大幅な価格差がある一方で、LPガスと水素はほぼ同等の価格水準となっている。

化石燃料代替(熱利用)における水素の経済性


水素価格は日本の「水素・燃料電池戦略ロードマップ」の目標値を採用

注2:化石燃料の価格は2019年時点の卸売価格などを採用




2030年時点でも水素発電は火力発電に対して割高だが、大量のCO2排出削減が可能


次に、将来的に導入が見込まれる水素発電と火力発電の経済性の比較を行った。


化石燃料代替と同様に、2030年時点では石炭火力発電、LNG火力発電よりも水素発電は割高である。


ただし、100万kW級で稼働率70%の火力発電を想定したとき、CO2排出量は石炭火力と比べ年間でおよそ510万t、LNG火力と比べ年間でおよそ210万t削減することが可能となる(ライフサイクルCO2排出量を石炭火力が0.864kg-CO2/kWh、LNG火力が0.376kg-CO2/kWhで算出)。


なお、石油火力発電は規模、稼働率などの面から割高であり、2030年時点で水素発電がコスト優位になっている。

水素発電の経済性




出所: Uzabase作成

注1:水素発電コストは日本の「水素・燃料電池戦略ロードマップ」の目標値を採用

注2:火力発電コストは経済産業省資源エネルギー庁の2014年時点のモデルプラントにおける試算結果を採用





CO2排出によるコストも考慮すると、水素の価格競争力は化石燃料や火力発電に並び得る


前述の通り、水素エネルギーの価格は従来エネルギーに比べて当面割高だが、CO2排出量を大幅に削減することができる。


水素の利用促進のためには、この環境価値を評価することにより水素の価格競争力を押し上げることが有効である。


炭素税や排出量取引などの手段でCO2が価格付けされ、排出量に応じたコストが付加されると仮定する。


そして燃料価格やCO2排出量を基に、各燃料・発電方法が水素と等価になるための1トンあたりの炭素価格を「環境コスト」と定義し試算する。


環境コストは概ねCarbon Pricing Leadership Coalition(CPLC)「High-Level Commission on Carbon Prices」で示された2030年時点での炭素価格の推奨値50~100$/t-CO2と同等の水準であり、環境価値を考慮した場合に2030年時点で燃料・発電方法を水素に切り替える合理性が示された。


化石燃料代替ではLPガス、発電では石炭火力発電の環境コストが特に小さく、これらはより低い炭素価格でも水素燃料・発電と等価になりやすいことから、水素代替の経済的なハードルが低いといえる。



なお、水素の環境価値を考慮する方法としては、炭素税や排出量取引(トレンド「排出量取引」を参照)のほかに グリーン電力証書の適用 や、太陽光発電普及に重要な役割を果たした固定価格買取制度(FIT)を水素に適用する方法などもある。これらの選択肢の中で 、社会的に受容できる制度設計を行うことが重要となる。




将来的には、再生可能エネルギーとして水素が有望のようです。水電解の効率化が課題のようです。







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