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財務DD(デューデリジェンス) シーズン1① はじめのDD

更新日:2022年6月7日


わたしは、公認会計士としてこれまでの約15年間、毎年DD/財務DDをやってます。DDについて、試しに書いてみようと思いました。


なお、書くにあたっては、「何某役に立つこと」も念頭におきつつ、記憶に残っていることを書こうと思います。さいごに「まとめ」をつけます。




DD(デューデリジェンス、デューデリ)はご存知でしょうか?



DDとは、DDは企業買収に際し、買い手が、あるいは売り手が実施する企業・事業調査です。個人的にわたしはほぼ買い手サイドのアドバイザーでDDを実施してきています。



また、資金調達を実施する際に、資金の出し手が行う調査、IPOの際に自社の調査を行うショートレビューなども類似性のある調査かとおもいます。一旦、M&Aを前提にしたDDの話をすすめます。



はじめてのDD



わたしは、2000年中央監査法人京都事務所(現在PwC京都)に入所し、おもに京都に本社のあるのクライアントの監査をさせていただきました。


監査でもいろいろありました。2004年ころ、ある先輩から「あんたはボーンオーディター(生まれながらの会計士)」と呼ばれることもありました。多分、監査人は向いていたのかとおもいます。


(監査は意外と チームワーキング で 部活 の様相でした)


2004年、とある上場企業(1994年ころ日本で時価総額1位のときもあった会社でした)の不適切な会計処理が判明、約1年間その「調査」にあたりました。日夜会社役員と折衝が続きました。話し合いの中では、「(そんな会計処理したら)お前は訴訟にあうぞ」などとも言わわれ、当時33歳でしたが1年で(一旦)白髪にもなりました。しかし1年後、なんとか「おわり」ました。


(内情は、ぶつかり合いでしたね)



その後、監査責任者に呼ばれました。その会社社長から「彼は検察か」というクレームがきたとのことで監査チームを外れてくれとのことでした。客観的に見ればわたしにも行き過ぎた行動もあったかもしれませんが、さすがに思う事もあり監査法人を辞めようとおもいました。


しかし、当時の監査責任者が「某大手通信会社(東京)でDDしてくれないか。」という誘いと、はじめてのDD対象先が、その監査先より「まとも」な会社に思え、辞めずにDDをすることになりました。その会社は、ある大手電力会社の子会社で、イーサーネット回線を扱う会社でした。



BS監査



会計士として5年間、かなり「熱心」に監査をしましたが、当時の監査は、BS監査と言われました。語弊もありますが、要は、専ら「貸借対象表の残高を抑える」ことに注力する監査でした。ですので、わたしのDDもその延長上でBS監査を念頭にはじめました。


(貸借 対照 表 のイメージ写真です・・・)



BS監査 > 修正BSと調査対象科目



財務DDの目的は当時専ら修正BS(純資産)を出すことにありました。


なので、なるべく巨額のBS残高に目をつけて、勘定内訳に価値が毀損しているものが無いかを探しました。


(すこし違うのですが、棚卸資産のイメージ)



具体的には、


・売掛金に回収不能な債権はないか


・固定資産(当初装置産業が対象会社でしたので)の遊休資産はないか、耐用年数は長すぎないか


・貯蔵品(いわゆる棚卸資産)に陳腐化したものはないか


・その他資産 その他の資産で滞留・未稼働の異常なものはないか



このように、主として 「資産の実在や評価」 を「点検」しました。



いまでも、依然として債権、在庫の実在や評価を検討することは監査においてもDDにおいても重要な事項です。しかし、当時に比べ、近年は損益やキャッシュフローの取引も調査・監査の対象として重要性が増しました。



なにしろ、それまでBS監査手続をやってきていましたから、とにかく、いかに「資産を削るか」それが腕の見せ所といった気持ちでやっていましたね。




まとめ



1.実態純資産の把握をしておきましょう



財務DDでは、いまでも「資産の実在性、評価の妥当性」を必ず検討します。これは、上場前にも必ず実施されます。また、エグジットする際のDDでも必ず。


例えば、通常中小企業会計は税務会計です。


税務会計上は実際に「モノを捨てる」か、「債権放棄と手続き」などしないと、実際に価値のない資産や債権の処理がなされません。



しかし、DDが入ると、帳簿上には数字があっても、すでに実在しない、価値が無いという観点でそれらの資産の数字を「落とされます」

(厳密には、BS純資産の価値が減少します)


車検に例えると語弊もありますが、何年かに一度は実態純資産と把握をしておくほうがいいでしょう。




2.バリュエーション


KKFASでは、株価算定はおおむねDCF法か類似会社比較法で実施します。ブログでもそちらを紹介しています。

しかし、売上高が数億円、純資産も数億円の会社の場合、いまでもコストアプローチで評価されるケースもあります。その場合、実態純資産が評価方法になります。ですので、実態純資産の評価も大切な時があります。


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