財務DDは、買収調査の際の会計・財務に関する調査です。対象会社の決算書やそのバックデータが「正しい」か確かめます。
「正しい」か否か、公認会計士の世界では、「監査要点」または「アサーション」と呼び、これをクリアすることで、「決算書の真贋を要素分解して解析」します。
因みに、監査要点は、
●実在性(本当にあるのか)
●網羅性(すべて記録されているか)
●権利と義務の帰属(会社のものか)
●評価の妥当性(適切な価額か)
●期間配分の適切性(正しい期間に計上されているか)
●表示の妥当性(きちんと開示されているか)
になります。会計・監査に馴染みのない方には ??? でしょうか。今日は、財務DDで最も大切な監査要点のひとつ「網羅性」について説明しましょう。
因みに、会計士となったばかりの頃、当初個人的に混乱したのは、「そもそも何をチェクしたら(何が)正しいと言えるのか。」でした。たとえば、会計の数字の根拠をたとえば請求書、領収書などで確認するわけですが、会計記録やそのもとになるデータは多いと10,000、100,000、1,000,000となるわけです。当然、その100分の1以下程度しか✔できないのですから。またそもそも何を正しいと言おうとしているのか。しかし、そこは証明理論があるわけです。また、そのあたりもお話出来ればいいでしょうかね。
網羅性
さて、「網羅性」は、取引すべてが記録されているかという命題です。標題に「オフバランス」と書きましたが、これは、「会計記録・決算書に(あるべき)記載が無い」という意味です。
端的には「簿外債務」が存在するケースが買収する側には「悪いケース」です。対象会社の決算書に、実は未記載の債務・潜在債務が存在するケースです。
やや絵が不適切ですが、要は、買収後にネガティブサプライズがあっては、困るわけです。ですので、オフバランスの取引に、「え!」というものが無いかを調べる必要があります。
1.オフバランス取引の性質
会計記録は、仕訳により記録されます。仕訳は、商品の売買、サービスの提供など取引に従い発生するものです。
しかし、例えば「受注」については、仕訳は発生しません。(簿記3級)
このように、そもそも会計記録に反映されない取引があります。
例えば、
リース:月々支払のリース代金は記録されますが、リースの残債は?
解約 :長期契約をしていて、途中解約する場合の解約損は?
口約束:買う、売るとは言っても、まだ未契約の売買取引は?
リースは「リース会計」により上場会社では解消していますが、このように、発生したあるいは発生する可能性のある取引は、タイミング的に会計には反映されていないことがあるのです。
このように、質的に反映がされない取引があります。
2.悪意
やっかいなのは、悪意で記録していないケースです。ひどいと「粉飾」ということになります。
3.バリュエーション
簿外債務については、当然第三者へキャッシュフローが流出するケースがあります。その場合、株主に帰属しません。従って、DCF法や類似会社比較法などで計算された事業価値から株式価値を算定する際にマイナスする事項になります。
4.オフバランス質問書
KKFASでは、当事者間で事後的にトラブルが無いために、またそのような懸念を払しょくするために、財務DDで「オフバランス調査」を実施します。その際、秘伝の「オフバランス質問書(約30ページ)」を利用します。
ご興味ある方は、お気軽にお問い合わせください。
Commentaires