財務DDは、対象会社規模にもよりますし、昨今は新型コロナ対応で難しい場合もありますが、基本的に2~3日現地訪問します。訪問の現場について書いてみましょう。
1.対象会社会議室
最も一般的な場所は、対象会社の会議室です。インタビューのお相手は社長のみの場合から、社長、役員、経理財務担当の複数人の時もあります。「法定監査(会社法監査、金商法監査)」と異なり、オープンな環境では訪問できません。
・土日祝日、従業員がいない時
・われわれは税務調査員を装う時
・名刺交換も無し
などが良くあるケースです。
たまに、「会社総勢で対応頂く」時があります。気分的には嬉しいのですが、ディールクローズしない場合を考えますと、やはり売り手側は、避けられた方が良い対応方法です。
【小話】ある上場会社クライアントの依頼で訪問した先(対象会社)は、ある上場会社の子会社でした。社長、役員以下、対応頂く方々がすでにクロージングを前提にしているかのように対応され、最後は皆さんに見送られ帰りました。その案件はブレイクしました。訪問先では混乱が生じたのだろうかとあとになって思料しました。
2.ホテルや貸会議室
対象会社(本社・支社)へ出向かない場合としては、ホテル、貸会議室での調査となる場合です。
この場合、対象会社従業員に知られるリスクは減るため、比較的秘密裏に実施可能です。また、双方FAがついた大型案件になる場合は、質疑が非常に制約感のあるものになります。
ホテル、会議室 (相対)
・対象会社近くの場所が多く、資料手配の制約も少ない
・調査側としても支障はすくない
・ただし、メーカーなどの場合、工場やヤード視察等が出来ないケースがある。
ホテル、会議室 (双方FA付き)
・FAの貸会議室がおおい
・時間も1~2時間となるケースがおおいため、質疑内容の制約がおおい
・買い手サイドとしては、十分な調査が出来ないケースがある
【小話】たとえば、社長宅へ伺うこともありました。こたつに入って調査をしたので、最初はいつもと雰囲気が違うと思いましたが、結果としていつも通りの調査であったとおもいます。
3.調査資料の扱い
訪問先が、対象会社か、それ以外(ホテル、会議室)にかかわらず、
DDでは、対象会社の情報入手の方法として、
①相対か、②FAを介すかの別、
また、
A.直接の受け渡しか、B.バーチャルデータルーム(クラウド上にデータをストレージし受け渡し管理される)か、
にわかれます。②+B は「QA方式」の最たるもので、調査実施者としては最も手間と時間(期間)を要します。
①+Aであれば、調査期間は半分以下ですみます。
4.まとめ
私個人はこれまで250件ほどの財務DDを経験しましたが、DD実施者としては、対象会社訪問、相対対応、直接の情報受け渡しに限ると言いたいところです。
実際、あるていど双方の情報格差が無い中でクローズする方が双方にも良いのではないかと思います。
他方、情報管制の見地からは、DD実施者が「嫌がる」方法も、戦略としてあるというわけですね。
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