財務DD シーズン2 ②監査と財務DDの相違

更新日:10月12日

財務DD、シーズン2の2回目、監査とDDの相違です。監査とDD両方を経験した公認会計士の経験を踏まえ解説します。上場会社M&A関係各位、IPO直前のM&A志向の経営者向けです。



今回も勉強会資料を展開します。

なぜ、相違を説明するか。それは、監査、DDを共に利用される経営者の方には是非双方の違いを理解頂き、DDの限界を理解いただくと同時により効果的なDDを構築して頂くためです。

上場会社で必要になる監査は、一般投資家が投資情報として公開される財務諸表の信頼性を担保する目的です。

他方、DDは、個別の投資(案件)の判断に有用な情報を提供する目的です。


極端的に言えば、監査は法定必須、毎年、DDはオプション、臨時。監査は広範囲、DDは限られた範囲。といえます。


それゆえ、監査は、金融庁・公認会計士協会等が監督するプログラムが決められています。これに対し、DDは、個別案件ごとに依頼者と受託者の合意手続で実施されます

意外かもしれませんが、監査は対象会計期間にかかる必要なすべての情報が入手可能です。経営者は会計士に要求される必要なすべての情報を提供し、その宣誓書(経営者確認書と言います)も提出します。


そもそも、監査は、公開財務諸表を発行する上場会社そのものが監査対象ですが、(売り手、買い手を前提として)DDは、売り手の対象会社を対象とします。


DDの情報入手においては、対象会社が嫌だといえばそこまでです。(勿論、売り手買い手双方の信頼関係が取引成立に欠けないため、基本的に嫌だといえないですが、ビット案件、売り手が強気な時などは、制限されるときがあります)


監査報告書は昨今KAM(Key Audit Matters)が導入され、やや厚みが出ましたが、それでも5枚程度、これに対し、DD報告書は50枚~100枚と枚数には差があります。


ただ、これはあくまで報告書の外観、枚数の比較に意味はありません。


監査手続(監査調書)は、端的に言いますと、辞書数冊並みの膨大なものになります。また、監査プログラムは決められていますし、必ず遂行されます。よって、監査報告書に詳述される性質のものではありません。


これに対し、DDは合意手続のうえ、(時間的、物理的)制限を受けます。よって、その記録を報告書に残します。


最後


(基本監査を前提にしますが)意見形成は、チームメンバーの集めた各勘定科目レベルの監査証拠を集約し、財務諸表全体の意見形成を行う事です。


(これも基本監査を前提にしますが)重要性とは、財務諸表の数字に虚偽があるとして、どの程度の虚偽から重要かという意味です。


すこし絵的に意見形成、重要性の違いを説明します。

監査は、結構チームワークです。膨大な監査証拠の収集を監査チームメンバーが一年を通じて行います。これらは勘定科目レベルで実施され、最後公開財務諸表レベルでそれが正しいかの意見をサイナーが最終的に形成します。


その際、その財務諸表に重要な虚偽表示が無いという心証を形成します。「全くない」とは言えません。どの程度の金額までの虚偽が無いかという点で意見形成されるのです。


例えば某大手企業で1億円は重要ではありません。重要性は相対的な数字になりますが、おおむね、税引き前利益の5%などがその目安になります。


一方で、DDは、意見というものはありません。そもそも対象会社の財務数値が正しかろうという意見を出す目的もなく、そのための手続も実施されません。


むしろ、財務数値は正しい前提にて、そこにどんな事実が含まれているかをハイライトすることがDDの目的だと信じます


そうは言っても、「公認会計士が見てくれたのだから、その数字は正しいでしょう」という依頼者の思いも担当会計士としては斟酌します。それゆえ、間違っていそうなところにあたりをつけ、必要最低限な手続きを済ませておくことも誠実性がなせる業だとおもいます。


依頼人、受託者双方が、依頼人目的のために一致団結することは、より効果的なDDを実施するために必要なことだと信じます。(一朝一夕にできるものではありませんが、このような関係はgood なものだとおもいます)



最後は、参考的に、DDに必要な知識、スキルの纏めをあげておきます。




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