今回からのテーマは、財務デューディリジェンス(財務DD)シーズン2、財務DDの基礎知識になります。K.K.FAS勉強会用資料の解説形式でおおくりします。
この勉強会用資料は4章構成しています。今回のシーズン② 財務DDの基礎知識では、M&Aにおいて意向表明締結前後から、対象会社(対象事業)の初期的リスク洗出しをもとに、専門家が実施する財務DDや株価算定をフル活用して頂くために、財務DDの位置付けから内容・有効利用を理解して頂くことが「目的」です。
今回は、第1章「財務DDの目的」です。財務DDのM&Aでの位置付け、財務DDはどういうものか、を理解してください。
「財務DDでは何をする」かは、依頼主、スキーム、その時の環境により、アラカルトに決まります。買い手はより安く買う動機、売り手はより高く売る動機のもとでDDを実施します。また、DD結果によりスキームが変更することもあります。M&Aが敵対的・入札方式(1次ビット)ですと、制約を受け限定的なDDになりがちです。
これまでわたしの関与が最も多いケースである、依頼主=買い手を前提に、その財務DDの目的を述べます。1.2.3と教科書的に列挙しています。どれもそのとおりですが、なんといっても取引価格(2.)を吟味する情報の収集が、最も重要だと思います。勿論、PMIは実際に大切ですが、財務DD、株価算定実施者の本領発揮はずばり価格の検討に資する情報収集です。
買い手にストラテジックバイヤー(Ex.事業会社)、ファイナンシャルバイヤー(Ex,VC、PE)の種類はあります。
が、事業からの価値を最大化する目的は変わらないです。やはり、株式価値を可能な限りリアルに出すことがディールを適切に導くと考えます。
買い手の期待②では、主として事業会社を念頭に纏めたものです。財務リスクの把握は対象会社(対象事業)の正常収益力の把握が最も重要ですが、重要なオフバランス債務が無い事の検討も基礎的に重要です。法務DDとの連携として、未払残業の程度の把握、また、M&Aをトリガーとするチェンジオブコントロール条項の影響も重要です。
切出した事業を買収するケースでは、カーブアウトイシューが別論点としてあります。それまでの会社やグループを離れるため、まずは、カーブアウトFSの検討、そして、M&A前後で切り替わる業務に注意が必要です。
財務DDだけではなく、税務、法務という典型的なDDのほか、環境DD、動産・不動産評価といった外部専門家に頼るパートがあります。なお、ビジネスDD,IT/人事DDは、買い手の事業部により調査されることが多いです。
財務DD以外を詳細に説明することは割愛します。
では、次回は、監査と財務DDの相違です。
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